舞台「脚気(かっけ)にしやがれ!~近代日本最悪の病『脚気』奮闘記~」が2月18日から、県立芸術文化センター(西宮市高松町2)阪急中ホールで上演される。
森林太郎を演じる三坂賢二郎さん。森鴎外は本名を林太郎といい、軍医として働く一方、「舞姫」「高瀬舟」などを執筆し、小説家や評論家、翻訳家としても知られた
県立尼崎青少年創造劇場ピッコロシアター(尼崎市南塚口町3)に拠点を置く、ピッコロ劇団の第72回公演。同劇団は前回第71回公演「いらないものだけ手に入る」で、本年度の第76回文化庁芸術祭演劇部門(関西参加公演の部)の大賞を受賞した。受賞後の劇団本公演として第1作となる今公演は、同劇団と関西で活躍する俳優陣らによる「ピッコロシアタープロデュース」第13弾作品で、舞台演出家・劇作家のG2さんが台本・演出を手掛ける。同劇団とタッグを組むのは、2016(平成28)年以来2度目となる。
1月21日に行われた制作発表会見で、G2さんは「前回を終えて『また呼んでほしい』と思ったし、今回呼ばれた時も『とにかくやらせてください』と思える劇団」と喜んだ。「商売のことを考えず、ピュアに芝居を作れる現場。ここまで稽古をしてきた中でも、やはりやりがいや手応えがある。役者はみんな実践力があり、(自分の求める)細かなことを実現しようと頭を働かせ、知恵を絞ってやってくれる」と魅力を語る。
今作は、かつて年間1万人以上が亡くなるほど流行し、結核と並び「国民病」とされた「脚気」をテーマにした群像劇。明治時代から昭和初期にかけて陸軍医・森林太郎(のちの鴎外)らが原因究明に奔走し、対峙する姿を描く。
G2さんは企画のきっかけについて「5、6年前に幕末をテーマに芝居を作った時に、多くの将軍が脚気で亡くなったことを知って驚き、さらに調べてみた」という。「新型コロナ禍で、自分を含めてみんなが右往左往している。この状況は脚気で人々が右往左往し、日本中が混乱に陥った様子と重なっているように感じた。とても身近な問題だと感じ、脚気を題材にした企画を構想した」と明かす。
森林太郎役の三坂賢二郎さんら同劇団員13人と、楠見薫さん、酒井高陽さんら関西の俳優8人が出演する。「5つの話を、バトンを渡してつなぐ『駅伝芝居』。これを出演者21人全員がかりで一つの作品に練り上げるべく、稽古に懸命に取り組んでいる」とG2さん。三坂さんは「文豪の森鴎外のイメージにとらわれず、林太郎がどういう覚悟を持って生きていたのか、本当に欲しかったものは何かなど毎日考えながら、上演まで積み重ねて自分の身体で演じたい」と意気込む。
開演時間は、18日=18時30分、19日、20日=11時・16時。全席指定。料金は、一般=4,500円、大学・専門学校生=3,000円、高校生以下=2,500円。未就学児入場不可。