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尼崎・ピッコロシアターで「蒲団と達磨」 岩松了さん描く「ワケあり」夫婦

(左から)岩松さん(作・演出)、樫村千晶さん(妻役)、森好文さん(夫役)、平井久美子さん(夫の妹役)

(左から)岩松さん(作・演出)、樫村千晶さん(妻役)、森好文さん(夫役)、平井久美子さん(夫の妹役)

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 兵庫県立尼崎青少年創造劇場ピッコロシアター(尼崎市南塚口町3、TEL 06-6426-1940)で7月18日から、ピッコロ劇団第61回公演「蒲団と達磨(ふとんとだるま)」が上演される。

記者会見での岩松さん

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 同作は、1988年に劇団東京乾電池が下北沢の本多劇場で初演し、1989年に岸田国士戯曲賞を受賞した岩松了さんの代表作の一つ。ピッコロシアターの開館40周年、岩松さんのピッコロ劇団代表就任10周年を機に、30年ぶりに岩松さん自身が演出を手掛けることになった。

 物語は、2組の布団が敷かれた夫婦の部屋を舞台に、事情ありげな夫婦とその部屋をひっきりなしに訪れる事情ありげで「ちょっとおかしい」人々との会話で展開する。説明的なせりふは排し、生活の物音や日常のやりとりを描きながら、水面下に潜む人々の不調和や欲望を浮き彫りにしていく。同戯曲賞の選考委員だった別役実さんは「岸田国士以来の写生劇の伝統を踏まえた不条理劇」「日常性とそうでない部分との、微妙な境界の辺りを、見事にすれすれに、すくい取っている」と絶賛した。

 岩松さんは「30年ぶりの演出ということで、初演の時との違いをよく問われるが、劇団員だった当時のことはよく覚えていない(笑)。今の気持ちでやるだけ。作品に対しては、古典と対面している感覚に近く、脚本はほとんど変えていない。今回の上演で30年間自分がやってきた演劇、演劇界が掲げてきた『静かな演劇』といったドラマツルギーを検証し直し、問い直したいという気持ちがある」と話す。

 「舞台演出は、作品よりも人間関係の戦い。『こんな色にしたい』と目指した色を出すというより、人(役者)と対しているうちにそうなっていくもの。先は読めない。だからこそ楽しめるのでは」とも。

 開演時間、公演回数は日によって異なる。入場料は一般=3,500円、大学・専門学校生=2,500円、高校生以下=2,000円。全席指定。今月22日まで。

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