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尼崎・富松神社で伝統野菜「富松一寸豆」収穫祭 ふるさとの特産品を後世に

参拝者には甘くふっくらとゆであがった一寸豆が振る舞われた

参拝者には甘くふっくらとゆであがった一寸豆が振る舞われた

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 尼崎の富松神社(富松町2)で5月16日、伝統野菜の「富松一寸豆(とまついっすんまめ)」収穫祭が開催された。

一寸豆の即売会にできた行列

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 尼崎市北部では昔から稲作の裏作としてソラマメが栽培されていたが、土壌に恵まれた富松のマメは特に粒が大きく柔らかで味が良く、「富松一寸豆」と呼ばれ、明治時代に皇室へ献上されたことから広く知られるようになった。富松地域では昔からマメを収穫すると、初物を寺社に奉納したり、親類縁者へ「豆くばり」と称して贈ったりしたほか、甘く煮た「福煮」は法事や正月の大切な料理として各家庭に受け継がれるなど、独特の地域文化を育んできた。

 都市化が進むにつれ「富松一寸豆」の作付けは著しく減少し、現在では10軒ほどの農家が自家用に栽培するのみ。そうした状況を受け、伝統野菜を後世に受け継ごうと「富松豆保存研究会」などの地域団体が活動しており、同収穫祭も24回目を迎えた。

 会場では塩ゆで調理したマメが参拝者に振る舞われたほか、数量限定でマメの即売会も行われ、整理券を求めて長い行列ができた。並んでいた女性は「豆ご飯にすると最高。米を炊く前にマメと塩少々を加えるだけ。塩ゆでしたマメは酒のつまみに。外皮も柔らかいので、むく手間がいらないのがいい」と楽しみな様子。

 口に含んだ大豆を吹き飛ばして飛距離を競う「豆飛ばしコンテスト」では子どもたちが熱い戦いを繰り広げていたほか、地域の昔話を手作りのイラストとともに語り聞かせる紙芝居にも多くの子どもたちが聞き入っていた。

 祭りの最後には米朝一門による落語会が開かれ、伝統野菜の収穫祭を締めくくった。

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