尼崎市は1月24日、市の人口が9年ぶりに増加に転じたと発表した。
1月1日時点で、自然動態は出生3792人、死亡5050人で1258人の減少となったが、社会動態が転入1万9364人、転出1万7664人と転入が1700人上回り、全体で442人増となった。
市の人口は、高度経済成長期に地方から多くの労働者が転入したことで1970(昭和45)年に55万4000人(国勢調査)とピークを迎えたが、産業構造の変化などにより転出が増加。2008、2009年にJR尼崎駅前の再開発で一時的に人口増となったが、以降も減少が続いていた。
近年は、駅前の再開発が続き大型マンションが増加したことに加え、市が進める定住・転入促進に向けた取り組みも功を奏し、2016年から3年連続で転入が転出を上回る社会増を達成している。昨年に住宅ローン専門の金融機関「アルヒ」(東京都港区)が発表した「本当に住みやすい街大賞2018in関西」では、尼崎市が1位に選ばれ大きな話題にもなった。市政策部政策課の堀井美雲さんは「3年連続で転入超過となったことは、街の魅力増進に向け市民の皆さまと力を合わせて取り組んできた成果。一過性のものではなく、実を結びつつあるのではないかと手応えを感じている」と話す。
転入者は、交通の利便性や物価の安さなど住みやすさを求める単身者や若い夫婦が中心。市は「ファミリー世帯の定住・転入促進」を最重要課題に位置付け、「治安」「環境」「マナー」の改善、市独自の学力テスト導入、子育て支援、「尼崎で暮らす」をキーワードに実際に暮らし働く人のリアルな声や学校教育の最新事情、市役所へ本音を聞く突撃取材などを掲載するサイト「尼ノ國(あまのくに)」の運営など、「あまがさきで子どもを育てる人を増やす」「まちのことを想(おも)い、活動する人を増やす」を2大指標にさまざまな取り組みを展開。ファミリー世帯の転出超過は減少傾向にあるという。
堀井さんは「尼崎は利便性が高く、若い世代の方々に多く移り住んでいただいている。家族を持ち引き続き『この街で子どもを育てたい』と思っていただけるようなまちづくりに取り組んでいきたい」と話す。