動画・ウェブコンテンツ制作などを手掛けるエアグラウンド(尼崎市南武庫之荘2)が、「産業用ロボット」に焦点を当てたプロジェクト「ロボメイツ」を立ち上げ、本格稼働へ向け現在準備を進めている。
「ロボメイツ」は、ものづくりの現場で導入が進む「産業用ロボット」を動かす「ロボットオペレーター」を育成するとともに、活動を通じて地元企業、若者、教育機関をつなぐことを目指すプロジェクト。子ども向けにアームロボットの操作体験やクイズを交えたプログラミング学習などを行う「ロボット体験授業・イベント」の実施、ロボットを導入している企業や「ロボットオペレーター」についての情報発信、ロボットが稼働する現場を実際に見学する「企業訪問」のコーディネート、導入から稼働までの環境を整える「ロボットシステムインテグレータ」の周知・育成など、さまざまなプログラムを展開する。
エアグラウンドはこれまで、大学生や高校生を対象としたインターンの受け入れ、地元企業の持つ「ワザ」を若者視点で発見・発掘し、冊子やウェブで発信する「ワザカタログ」など、若者のキャリア教育や地域活性化へつなげる多様な取り組みを展開してきた。社長の畠中裕介さんによると、取り組みにより企業や高校と交流を深める中で、さまざまな課題や悩みが聞こえてきたという。
中でも、「産業用ロボットの導入」に関する声は多かったといい、企業側からは「作業効率向上や人材育成のためにロボットを導入したがうまく生かしきれない」、学校側からは「教育現場へロボットを導入したものの、『現在のものづくりの現場』に応じた授業を展開できない」などの声が上がっていたという。畠中さんは「産業用ロボットを扱うには必ず『安全特別教育』を受けなければ従事できず、企業は人材の確保が難しい上、長年作業を続けてきた職人は『自分の腕が一番』という考えからロボットを敬遠する人が多い。公立高校などでは、ロボットに関する情報更新が難しく、導入を担当した教員が異動してしまうと『誰も動かし方を知らない』となるケースもあると聞いた」と話す。
そこで、同社が行ってきた取り組みを生かし、双方が抱える課題を解決しようと「ロボメイツ」を企画。インターンに来ている大学生、「ワザカタログ」でつながりのある市立尼崎双星高校の生徒らと共に、準備を始めた。同校は、ロボットの国際大会で好成績を収める「情報技術部」の活動が盛んで、近隣小学校から「授業に来てほしい」と声が掛かっていたものの、環境が整わず実現できなかった経緯があった。「今回の企画を生徒が主体的に進めることで、その声に応えられるのでは」と考え、プロジェクトへの参加を決めたという。
畠中さんは「ロボメイツ」参加のメリットについて、「子どもたちはロボットやAI、プログラミングを楽しく学びながら地元企業を知ることができる。教育機関は気軽にロボット体験授業を実施できる上、地域や企業と連携した『キャリア教育の場』を創出できる。企業側は若い世代に自社の魅力をアピールでき、教育現場とつながることで将来的な人材確保も期待できる」と話す。
現在、11月23日に神戸市で開かれる、県内の高校で商業を学ぶ生徒が集う「高校生フェア」への出展、来年1月に市内小学校で予定する「ロボット体験授業」の実施へ向け準備を進めているという。畠中さんは「生徒らは、発表の仕方や講師としての立ち振る舞いなどを一生懸命学んでいる」と笑顔を見せる。「ロボット体験授業で『もっとロボットについて学びたい』と思った子どもを受け入れられるような学習プログラムも展開していければ」とも。
「ロボメイツ」の本格稼働は来年1月を予定。