尼崎の大庄北生涯学習プラザ(尼崎市大島3)で「伝統詠春拳(えいしゅんけん)」尼崎教室が開かれ3カ月がたつ。現在、生徒を募集している。
「木人椿(もくじんとう)」を使い防御から反撃までの流れるような動きを練習
「伝統詠春拳」は清朝時代の中国・四川省を発祥とし、南派少林拳を習得した女性が創始した武術。直線的でシンプルな動きが特徴で接近戦を得意とし、合理的・実践的武術として中国南部に広く伝承されてきた。1950年代、葉問(イップマン)の活躍で香港の一大門派として発展。イップマンの門下生だったブルース・リーの人気によって世界的に有名となり、香港映画やハリウッド映画のアクションシーンでは詠春拳の手技が多く取り入れられている。
「香港では太極拳よりポピュラーな詠春拳を、関西でも学べる場を提供したい」との思いから、格闘技歴30年以上の堀川敏宏さんが6月に尼崎教室を開講した。有資格者による公式教室はこれまで都内3カ所のみで、関西では初となる。
堀川さんは神戸出身。8歳から少林寺拳法、糸東流空手を学び、37歳で詠春拳に出合った。「イップマンの生涯を描いた映画『グランド・マスター』を見たのがきっかけ。東京の教室に通い、香港でイップマンの直弟子で現在の最高指導者であるウィリアム・チュンさん、その弟子のフレディ・ウォンさんからも直接教えを受けて素晴らしい人柄に触れ、のめり込んだ」と堀川さん。
電気工事士の仕事の傍ら趣味として続けていたが、昨年甲状腺がんの手術を受けたことから詠春拳との向き合い方が変化したという。「病気を乗り越えるために、詠春拳で学んできたことが力になった。生きていく日々には限りがあることも実感し、自分が好きなこと、本当にやりたいことを大事にしたいと思うようになった」と堀川さん。回復後にインストラクターの資格を取得し、教室を開く決意に至ったという。
「健康のため、自己防衛のため、理由は人それぞれ。格闘技好きな人はもちろん、経験ゼロの人も型を覚えてしまえば小さなスペースで毎日実践できる。朝、自宅のベランダで練習するのはとても気持ちがいい。日本ではまだあまり知られていないので特別感もある。カンフースターの気分で楽しんでもらえたら」と笑顔を見せる。
開講時間は日曜10時~12時。会費は、入会金=5,000円、年会費=5,000円、月謝=1万円。ほかに設備費、スポーツ保険費、ユニホーム費が必要。無料体験を受け付けている。要予約。