創作文芸同人誌の展示即売会「尼崎文学だらけ」が10月7日、近松記念館(尼崎市久々知1、TEL 06-6491-7555)1階和室で開催される。
尼崎の土地から創作文芸を発信し、文学を「読む」「書く」ことを楽しんでもらおうと、市在住の文芸愛好家にゃんしーさんが主宰する同イベントは今回で3回目。純文学、大衆小説、ライトノベル、詩、評論、エッセーなど文芸作品の同人誌を、作者本人や出店者が展示・販売する。
会場は、江戸時代の劇作家で「東洋のシェークスピア」とも称される近松門左衛門の墓所に隣接する記念館。回遊式日本庭園風に造られた近松公園の中にあり、近松ゆかりの文机や過去帳などの遺品も展示している。
今回は「声と言葉の文化祭」をテーマに、即売会とポエトリーリーディングライブを同時開催する。和室でくつろぎながら気になる本を手に取り、BGMのように詩を聴く、のんびりとした空間を用意する。
にゃんしーさんは「近松記念館の静かな雰囲気と文化的土壌に魅力を感じた。扱う作品は100冊以上で、どれも商業流通していない同人誌ばかり。誰かのため、何かのために書かれたものではなく、ただその本がその本であるために書かれた『純粋さ』のようなものを心ゆくまで読み、味わってもらえたら。詩が響き渡る空間で、あるいは近松ゆかりの公園で読書を楽しめば、ほかにない豊かな時間になるのでは」と話す。
本を読み、小説を書き、文学賞に投稿し、毎週公園で言葉のパフォーマンスをする日々を送るというにゃんしーさん。「自然災害が起こった時、ある小説家がつぶやいたように『文学は無力だ』と思うし、文学は力を持つべきではないのかもしれない。村上春樹さんがエルサレム賞受賞のスピーチで話した『卵の側に立つ』ということが文学なのかな、と思うことがある。何の力も持たず、ただ本を読むだけのイベントだが、卵の側に立つように、いろんなものやことや人を受け入れる場になれば。どうかふらりと来てほしい。たくさんの本が待っている」と呼び掛ける。
開催時間は10時~17時。入場無料。