来年完成予定の「尼崎城」が現在、「一枚瓦寄付」「一口城主寄付」を募集している。
尼崎城は江戸時代初期、当時の尼崎藩主・戸田氏鉄(うじかね)が築いた城。大阪城の西の守りとして重要な軍事的意味を持っていたほか、沖から眺めると海に浮かんでいるように見えたことから「琴浦城」と呼ばれ、風光明媚な城としても親しまれたという。
城は明治の廃城令により取り壊され、堀も埋め立てられて当時の面影をしのぶものはほとんどなくなったが、市発祥の旧ミドリ電化創業者・安保詮(あぼ・あきら)さんが「再建」し、市に寄贈されることとなった。当時の本丸の約4分の1サイズで、当時の場所から北西約300メートルに位置する尼崎城址公園内に建設が進んでおり、2018年内に完工予定となっている。
市では新しい城を歴史的シンボルと位置付け、一人でも多くの人が再建に参画することで親しみと誇りを抱いてもらおうと、5月19日、「一枚瓦寄付」「一口城主寄付」の募集を始めた。
「一枚瓦寄付」は1口3,000円で、寄付者は実際に城で使われる瓦の裏面に自分や家族の名前、記念メッセージを書く「記名会」に参加することができる。
「一口城主寄付」は1口3万円以上・10万円以上・30万円以上・100万円以上の4種を用意。「一口城主」には金額に応じたサイズのパネルに名前や団体名を記入し城内に掲示するほか、10万円以上の寄付者は、城のグランドオープンに先駆け「先行入城会」に招待する(一部抽選)。
集まった寄付金は、内部の展示物の整備などに使われる予定。近世尼崎城をCG(コンピューターグラフィックス)で再現した映像を見ることができるシアタールーム、「石積み体験」「城下町すごろく」などの体験展示を検討しているという。目標額は1億円。
城内まちづくり推進課の馬場章吾さんは「1カ月で、一枚瓦寄付が約240件、一口城主寄付が約100件集まった。団体からの寄付も増え、城の再建を楽しみにしている皆さんから熱い思いをたくさん頂いている。城の建築工事も杭打ちが始まり、いよいよ本格始動した。尼崎城の再建というまたとない機会に、記念として名前を未来に残してもらえたら」と話す。
申し込み方法など、詳細はホームページで確認できる。