尼崎の近代化産業博物館「ユニチカ記念館」(尼崎市東本町1、TEL 06-6481-0525)で現在、入館者数が昨年10月から大幅に増え続けている。
同館は1889(明治22)年に設立した尼崎紡績会社(現・ユニチカ)の本社工場として建設し、1900(明治33)年から本社事務所として使われていた建物。
これまであった戦火や震災被害からも奇跡的に逃れ、現在は市内に残る最古の洋風建築となっている。2007年には経済産業省が指定する「近代化産業遺産」に認定された。
入館者数が急増したきっかけは、昨年9月28日から始まったNHKドラマの連続テレビ小説「あさが来た」で、俳優の玉木宏さん演じるヒロインの夫・白岡新次郎のモデルが、同社初代社長の広岡信五郎氏だったことから。同ドラマ開始直後の10月には、来館者が前年比の約3倍となり、11月以降は例年のほぼ10倍ペースで増え続けているという。
来館者が最も集中するという展示室には、歴代社長の肖像写真をはじめ、「尼崎紡績会社創立御願」「決議録」などの貴重資料や、当時の工場の様子が分かる写真、ジオラマなどを展示している。
館内にはこのほか、1960年代に「東洋の魔女」伝説を築いた「ニチボー貝塚女子バレーボールチーム」ゆかりの品々や、尼崎の市外局番が大阪「06」となった経緯を紹介する資料などが見どころとなっている。
同館の管理・運営を担当するユニチカ人事総務部の立石望さんは「尼崎紡績については、ドラマ中でわずかに触れられただけなのに、ここまでの反響があるとは思わなかった。今回の現象をきっかけに、産業遺産としての価値だけでなく、紡績から高分子事業へと進化を続けるユニチカの現在の歩みにも関心を寄せてもらえたら」と話す。
開館時間は、水曜=10時~12時、13時~15時。入館無料。