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尼崎・富松神社で猿の大絵馬奉納 富松城跡保存の願い込め

境内に設けられた大絵馬

境内に設けられた大絵馬

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 尼崎の富松神社(富松町2)で12月7日、中世の遺構「富松城跡」保存の願いを込めた大絵馬が奉納された。

神職のおはらいを受ける大絵馬と関係者

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 「富松城」は15世紀に築かれたとされる城郭で、尼崎城と伊丹城の中間にあったことから戦国期には攻防の要害となり、将軍足利氏の相続争いの舞台にもなった地。1960年代の道路計画に伴い発掘調査が進み、平地に残る貴重な中世城郭遺構として位置付けられるようになる。現在では地域住民が組織する「富松城跡を活(い)かすまちづくり委員会」が市教委と協働し保存・活用に取り組んでいる。

 同会では2002年から、城跡の保存と地域の発展を願い、えとの大絵馬を同神社に奉納している。高さ3.5メートル、幅4メートルの大絵馬には、3匹の猿の親子がケヤキの木の枝からぶら下がり、富松の鬼として伝わる「茨木童子」が伝統野菜「富松一寸豆」を猿たちに差し出す様子が描かれている。大絵馬は会員たちによる手作りで、印刷会社に勤務する瀬口文行さんが描いた原画を基に、延べ203人が1カ月半かけて描き上げた。

 同会員で申(さる)年生まれの前島道子さんは、「10月から土日の休みを返上して作業を続けた。昨年孫もできたので、家族の健康を願いながら絵馬を描いた」と振り返る。同会代表の善見壽男(ひさお)さんは、「今回のテーマは『家族のきずな、地域のきずな』。木の枝と猿、童子が円でつながる構図に注目してほしい」と話す。「14年目を迎え、会員たちの技術や結束力が向上し、とてもいい出来栄えになった」と笑顔を見せた。

 大絵馬は来年11月まで同神社の本殿横に設置される。

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