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尼崎の伝統野菜「田能のさといも」、小学校給食に初登場

地元の伝統野菜を味わう子どもたち

地元の伝統野菜を味わう子どもたち

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 尼崎市内の小学校9校で11月27日、伝統野菜「田能(たの)のさといも」が初めて給食に登場した。

色白でもっちりとした粘りとうまみが特長の「田能のさといも」

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 「尼いも」「富松(とまつ)一寸豆」と並び、地域の希少な伝統野菜として保存活動が進む「田能のさといも」。元は猪名川の岸辺に自生しており、草丈が高く水害に強い種で、江戸時代には田能地区で栽培されていたという。栽培期間が長く稲の裏作にできないことや、連作できず数年ごとに畑を移さなければならないことなどから商品作物には不向きとされ、農家が自家消費用にと庭先や休耕地でわずかに栽培するのみだった。

 17年前、市民団体「自然と文化の森協会」が同さといもの保存活動に乗り出した。「さといもまんじゅう」や「さといも音頭」でPRするほか、猪名川で農業を営む安立久志さんを中心に種芋オーナーを増やして増産に取り組み、今年初めて小学校給食への提供が実現した。

 当日は協会が用意した110キロのさといもと、紅鮭や油揚げ、さまざまな野菜を酒かすと煮込んだ「かす汁」が献立に登場。安立さんら協会メンバーも園田北小学校の6年生たちと食卓を共にした。かす汁の鍋には早々にお代わりの行列ができ、さといもを味わった子どもたちは「おいしい」「普通のサトイモと違う気がする」と話した。

 同協会の内田大造さんは「田能のさといもの特長は、色白で、もっちりとした粘りとうま味があること。かゆみの原因となる成分が少なく、皮をむいても手がかゆくなりにくい。育てるのに手間暇掛かるが、大勢で力を合わせて育て上げるのも魅力の一つ。子どもたちには『自分たちのいも』として親しみを持ってほしい」と笑顔を見せる。

 同さといもを入手するには「運が良ければ、JA兵庫六甲 園田支店で販売されているかも」と内田さん。

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