尼崎市中央地域振興センター(尼崎市開明町2)で3月18日、「尼崎市長期実践型インターンシップ報告会」が開催された。
稲村尼崎市長も報告会の見学に訪れ、インターン生と一緒に記念撮影
「尼崎市長期実践型インターンシップ」は、尼崎市とNPO法人JAEが、同市と地元企業の良さを知ってもらう目的で2015年度から始めたプロジェクト。単なる就業体験ではなく、経営者にとっては「やってみたいこと」や「試してみたいこと」に挑戦するきっかけに、大学生にとっては「期間限定プロジェクトメンバー」として事業に参画する機会となる。インターン生たちは2~6カ月間で、新規事業の立案や試行のため、リサーチや広報、イベントの企画・実施、商品プロモーションなどに取り組む。
2期目となる2016年度は、企業・団体8社が受け入れ、学生10人がインターンに挑んだ。報告会では、6社のインターン生が参画したプロジェクトの概要や取り組み、成果、体験、気付きなどについて発表した。
コピー機を中心とするOA機器の販売とレンタルを行う「アクセスコーポレーション」では、若手社員のスキルを生かし、SNSなどを駆使して地域の事業者の集客を応援する取り組みを始め、事業化の可能性を探っていた。同社のインターン生である阪南大3年の川畑亜紀さんには、顧客先である保育園の園児募集に取り組む課題が与えられた。
川畑さんは、保育園にもインターンとして赴き、園の様子や子どもたちの姿、保育士の仕事などについて理解を深めた上で、広報記事を作成した。川畑さんは「広報に関心があって参加。どんな仕事に就いても、大事な考え方が身に付いた。個人ではなく、企業として発信する重みを感じ、たった1文字の間違いでもクレームにつながる。簡単なことではないが、やりがいのある仕事だと思った」と話す。
同社社長の久保護(まもる)さんは「川畑さんのおかげで、新規事業の課題が明確になった。一般の方にとっても、自社の仕組みで分かりにくいところがあることも知り、新たな課題も見えた」と話す。
1期から参加する建物クリーニング・研究施設衛生管理・家事支援等を手掛ける「栄水化学」社長の松本久晃さんは「中小企業の経営者には、自身がプレイングマネジャーとして動いている人が多いため、インターンの受け入れが困難な場合もある。『尼崎』というまちの名前が入ったプロジェクトだから、企業対学生だけではなく、企業チームとして、若者を一緒に受け入れ育てられるようにサポートし合えたら。すでにその風土がある」と提案した。
松本さんが中心となって、2017年秋をめどに「長期実践型インターンシップ尼崎プラットホーム」を設立する予定であることが発表された。市内企業が主導し継続的にインターンシップを実施・推進する仕組みができあがろうとしている。