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尼崎の不動産会社「たけのこハウス」1周年 障がいある人の住まい探し専門

竹下さん。「人それぞれの動きの癖、駅からの帰宅ルートなど、当事者から話を聞くことで知る発見はいくつもある。さまざまなケースを学び、提案できることを増やしたい」と話す

竹下さん。「人それぞれの動きの癖、駅からの帰宅ルートなど、当事者から話を聞くことで知る発見はいくつもある。さまざまなケースを学び、提案できることを増やしたい」と話す

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 尼崎・武庫之荘の不動産会社「たけのこハウス」(尼崎市南武庫之荘3、TEL 06-6415-9345)が1周年を迎えた。

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 障がいがある人の住居探しを専門とする不動産店として、昨年12月7日にオープン。店主の竹下雄貴さんは長年、大手不動産会社、管理会社などに勤務。経験を積む中、障がいがある人の住居探しを担当したことがきっかけとなり、独立したという。

 竹下さんによると、障がいが理由で入居を断られることは多い上、物件が見つかったとしても極端に数が少なく、「十分な選択肢」を用意することが難しかったという。「自立したい思いがあるのに、物件探しがネックとなり自立を断念するケースを何度も見てきた。支援者もどこへ相談していいか分からない状態で、なんとかしたいという思いが強かった」と振り返る。

 入居希望者がいる場所まで出向き、要望などをヒアリングする訪問サービス、物件の様子を見に行ったり各所のサイズ計測をしたりする確認代行、オンラインによる契約手続きなど、当事者が置かれている状況に合わせできる限りのサポートを行う。物件が決まった後も、設置する手すりやクッションの位置など、当事者、大家、施工業者とチームになってリフォームを進めるという。

 竹下さんは「限られた条件の中でどのように住みやすい環境をつくるか、みんなでプロジェクトを動かす楽しさがある。大変だが、鍵を渡す際に入居者が見せる晴れやかな顔を見ると『人の役に立てた』とうれしくなる」と笑顔を見せる。

 開業から1年がたち、竹下さんの取り組みを知り「こんなに困っていると初めて知った」と物件提供や協力を申し出る人が増えてきているという。「尼崎は人情の町だと実感する。『住めればどこでもいい』と半分諦めている当事者もいるが、絶対に希望やこだわりがあるはず。全てに応えられるわけではないが、徹底的に話を聞いて関係性を築き、協力を申し出てくれる人や行政とも連携しながらできるだけ選択肢を増やしたい」と意気込む。「空き物件の活用やシェアハウスなど、仕組みをつくって誰もが住みやすい環境を整えたい。『当たり前の事業』として地域に根付いていけば」とも。

 営業時間は10時~19時。日曜・祝日定休。

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