産業技術短期大(尼崎市西昆陽1)で8月25日、高校生・小学生を対象とした「ロボット組み立て体験・キャンパス見学会」が開催された。
動画・ウェブコンテンツ制作などを手がけるエアグラウンド(南武庫之荘2)が立ち上げた、ものづくりの現場で導入が進む「産業用ロボット」に焦点を当てた取り組み「ロボメイツ」の一環。同大とエアグラウンドが共同開発する子ども向けロボット教材「ミニマル工場」を実際に子どもたちに体験してもらい、教材の改良につなげようと実施した。
開発中の教材「ミニマル工場」は、小型のアームロボット、搬送用ロボット、ベルトコンベヤーを組み立てて動かし「小さな工場環境」を再現するもので、大中小3つのサイズを用意。小サイズは手のひらに乗るほど小さく、用途や授業環境に合わせて選ぶことができるという。
ロボメイツでは、ロボットの動作をプログラムする「ティーチング」や、工場などで稼働するさまざまな産業用ロボットについて学べる「子ども向け産業用ロボットプログラム」を展開。エアグラウンドの畠中裕介社長によると、これまで市販のアームロボットを使ったプログラムを実施してきたが、大きさから準備や搬入に課題があったという。「持ち運びも大変で、一人一人に1台ずつロボットを用意するのはスペース的に難しかった。開発を進め、来年度からミニマル工場を取り入れた授業を市内小学校向けに展開したい」と話す。
当日は、ロボメイツに参加する尼崎双星高情報技術部生徒と地元小学生が参加。同校生徒は、小学校向け授業の「講師」として子どもたちにロボットの組み立てや動かし方を教える予定で、今回のイベントは「ロボットを実際に触りこつをつかむ」などの目的も掲げられた。
子どもたちは、小サイズのアームロボット組み立てに挑戦。詳しいマニュアルがまだないため、講師に教わりながら部品の写真と完成品を参考に組み立てを進めた。完成後は、試作品の中サイズアームロボットやベルトコンベヤーをつなげ、実際に稼働させる体験会を実施。難しい表情で組み立てに挑戦していた子どもたちも、笑顔でロボットを動かしていた。このほか、溶接ロボットを紹介する動画の上映、キャンパス内の見学会なども行った。
同大機械工学科の二井見博文教授は「部品の写真と1台の完成品を参考に、ねじの長さなどを自分で考えながら組み立てることは、何もない状態から試作する手順と同じ。単純に組み立て方を示すのではなく、アイデアを形にする手順を示すようなマニュアルを作成したい」と話す。
同大学生で、エアグラウンドにアルバイト勤務する上村拓人さんも講師として参加。「ロボットに触れる機会の少ない人にどう教えたらいいか考えるのが難しかった。高校生も小学生も、組み立てていくうち形が見えてきてテンションが上がる気持ちは自分と同じ。共感してもらえてうれしかった」と笑顔を見せる。
10月、11月にも子ども向け体験イベントを開催する予定。