一般社団法人「officeひと房の葡萄」が現在、若者の自立支援を行うシェアハウスの開設へ向けた取り組みを進めている。
小学生から、「また学びたい」と学校に通う元助産師の年配女性まで、施設の利用層は幅広い。赤井さんは「多世代交流になり、影響を受けて『看護の道へ進みたい』言う子もいる」と話す
2017(平成29)年に設立された同団体。子どもの社会的居場所の創出や学習支援などに取り組む施設「ぐれいぷハウス」(尼崎市西立花町3)を拠点に、若者の自立・就労支援、中退防止事業、哲学的対話事業などを展開する。
開設を目指すシェアハウスは、金銭や健康面の管理、料理、洗濯など、生活する上で必要なスキルを身に付けるための支援を行い、自立へ導くことを目的とする。3、4人が入居できる規模を予定しており、支援員が入居者一人一人に寄り添いながら、生活スキルの向上、大人との関わり方や就労についての知識・経験を得る場の創出など多様な支援を進めていくという。
同団体代表理事の赤井郁夫さんによると、児童養護施設を18歳で退所した後、うまく自立へつながらず生活に困ってしまう、家庭環境により進学や希望する仕事への就職が難しい中で「急な自立」を迫られるなど、人生の岐路に立つ若者が抱える問題はさまざまだという。赤井さんは「お金の使い方や食事の作り方など、親や身近な大人から身の回りのことを教わる機会がなかった子どもは、自分なりにベストを尽くそうとするが路頭に迷い、簡単に困窮してしまう。長年若者支援に取り組む中で、こういった面をケアすることが大事だと強く感じ、支援型シェアハウスを開設しようと思った」と話す。
入居対象は、働いている、もしくは働こうと思っている18歳~23歳の女性で、家賃は光熱費など合わせ3万円程度。入居の想定期間は2年で、個人のタイミングを見ながら自立へ導くという。「生活用品などはできるだけ施設側が用意し、『身一つ』で入居できる環境を整えたい。18歳から23歳までの女性ということで、子どもを連れての入居などさまざまなことを考えながら準備を進めている」と赤井さん。
「昔は会社の寮や徒弟制度などが盛んで、そのおかげで助かったという若者は多かったと思う。若者を取り巻く環境は本来ならば昔よりいい方向へ向かうべきだが、残念ながらそれらの取り組みは廃れつつある。支援型シェアハウスで自立まで導く『成功事例』を積み上げ、同様の取り組みが広がるような流れをつくっていきたい。進学や就職などに加え、自立を支援するシェアハウスが『当たり前の選択肢』になれば」とも。
シェアハウスの完成は来年夏ごろを予定。現在、取り組みへの募金を受け付けている。12月29日まで。