特集

⑤プラスチックゴミを地域で考えるつどい|武庫広報誌むこたんvol.5

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武庫地区の西端、西宮市との市境に「武庫川」という二級河川が流れています。
河川敷にはコスモス畑があり、ジョギングや犬の散歩など、たくさんの方に親しまれています。
休日には少年野球やサッカー、バスケットボールなどを楽しむこども達の姿も。人々が安らぎや楽しみを求める河川。今日はそんな河川の環境に関するお話です。

2020年11月20日@大庄元気むら
武庫川の上流と下流で繋がっている大庄地区で、「プラスチックゴミを地域で考えるつどい」が開催されました。

主催は「大庄元気むら運営委員会」。地域の環境問題を解決する取組を推進するコープこうべが後援となって開催されました。

「大庄元気むら」は、閉店となったコープ大庄の空き店舗を活用し、コープこうべと地域住民の手によって作られたコミュニティスペースです。オープン後は「大庄元気むら運営委員会」という地域住民の有志団体によって自主運営されています。

今回企画されたイベントは「プラスチックゴミを地域で考えるつどい」と題され、河川に流れ着く漂流ゴミや家庭からでるゴミ問題から環境について考える講演会と、実際に参加者全員でゴミ拾いを行う企画の2本立て。

「大庄元気むら」のオープン前にも同様のイベントが企画され、参加者から反響が大きかったため、内容を更に拡大しての開催となりました。

前回のゴミ拾いイベントの様子
前回のゴミ拾いイベントの様子。

 

武庫川を漂流して流れ着いたゴミ
武庫川を漂流して流れ着いたゴミ。写真左側のカニもどことなく悲しそう。

大阪商業大学の原田禎夫准教授と、今回の開催協力団体でもある「あまがさき環境オープンカレッジ」の原田明副理事からお話を聴き、その後実際にゴミ拾いを行う予定でしたが、コロナウイルスの感染状況を考慮し、ゴミ拾いの実施は中止。
講師の原田准教授も、ご自宅からリモートでの講演となりました。

大阪商業大学の原田禎夫准教授

講演の中では、世界のプラスチックごみを取り巻く状況と、各国の対策について紹介。

アメリカや欧州では早くからレジ袋が有料化され、紙容器の使用が推進されています。また、デポジットで容器を返却すると容器代が返却される仕組みなども進んでおり、脱プラスチックへの考え方や姿勢が国民に浸透しています。
中国がプラスチックゴミの輸入を停止したことから、途上国へのゴミの輸入が増えており、処理技術が進んでいない途上国からの海洋流出が激増しているようです。そもそもプラスチックゴミを輸出している国の一つが日本。

この事態をどう考えるか、地域の中で取り組む必要があります。

講演中の大阪商業大学・原田禎夫准教授

日本国内で海にゴミが流れる原因をたどれば、河川のゴミ汚染の深刻化が見えてきます。

原田先生の地元、亀岡市では地域住民と一緒にごみを調査する取組があります。地域の中でゴミが集中している川が判明すると、地域住民の意識が変わります。
2011年時点では20リットルの土のう袋190袋分ものゴミが出ましたが、2016年には20リットルのゴミ袋10袋分まで減ったそうです。
「活動は必ず実を結ぶ。」と取り組みを振り返ります。

原田先生は「ゴミも資源となる時代になっている。石油が枯渇した時に、プラスチックに頼らない社会づくりが急務。地域の方それぞれの行動が行政や国を変えると思っている。まずは自分にできることが何かということを考えて欲しい。」と話し、講演を締めくくりました。

「あまがさき環境オープンカレッジ」の原田明副理事

何やら様子のおかしい人物が登場しましたが、こちらが原田明さん。

原田さんは、ゴミ拾いをスポーツやエンターテイメントと捉え、楽しんで活動されています。勤めていた会社を55歳で早期退職。環境や福祉に関わるために地域活動を始めました。
愛称は「BOB」(ボブ)。「ブレークオフバリア」(しがらみを壊す)の略だと言いますが、後付けのようです。

あまがさき環境オープンカレッジの副理事を務め、市と協働でイベント等を展開。2015年から塚口でゴミ拾い活動を始め、1日平均200本というタバコの吸殻に愕然。最初は怒りの感情でしたが、そのうちに「ゴミを助けてあげたい」という気持ちに変化。ゴミを救うヒーローとして誕生したのがトングマンなのだとか。
「ゴミは自分で動けない。動けないなら助けてあげたい。」という思いで活動しています。

「巷ではSDGsという言葉が流行っているが、SD爺sとして活躍したい。」と話すボブさん。
楽しんでゴミを拾えるように、スポーツゴミ拾いを提唱。拾ったゴミの量をポイント化し、得点で競います。吸殻で絵を描く「ポイ捨てアート」なる活動も。
「捨てる神がいるなら、自分は拾う神でありたい。」とSD爺sは微笑みます。

トングマンのマスク
トングマンのマスク。お菓子やティッシュの空き箱で出来ています。

講演会を終えて、「大庄元気むら運営委員会」の山﨑さんは「みんなの意識が変わらなければプラスチックごみは減らない。こういったイベントが、地域課題を認識してもらえるきっかけになれば嬉しい。」と力強く話してくれました。

コープこうべでは「もったいないから考える」というテーマで、食品ロス削減やプラスチック問題などについて地域の組合員さんと一緒に考えながら取り組みを進めています。

これまでも、マイバッグ運動やリサイクル活動などに取り組まれましたが、昨年からは「2030年までにプラスチック使用量を25%削減」という目標を掲げ、取り組みをさらに強化しています。

コープこうべの環境担当係長を務める井野さんは、「会場とオンラインの両方でたくさんの方に参加いただき、改めてプラスチック問題への関心の高さを感じた。仮に、約171万人のコープこうべの組合員の皆さんが1gのプラスチックを削減すると1,710㎏の削減につながる。できることから一緒に取り組んでいきましょう。」と笑顔でメッセージを伝えてくれました。

普段、何も考えずにそこに流れている武庫川や武庫地区の水路。意識して見ると、ゴミが散見されます。そこには自分の経済活動から生まれたゴミもあるかも知れません。
直接ポイ捨てはしていなくても、自分の生活からは切っても切り離せないのがゴミ。地球全体の大きな問題でも、まずは身近な地域から。
武庫川の河川敷から、少し世界に目を向けて考えてみましょう。

取材・文:土居由紀子
※当記事は武庫広報誌「むこたん」とのタイアップ企画です。

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