阪神・尼崎駅から西へ徒歩15分ほどにある商店街「尼崎三和市場」(尼崎市神田南通~建家町)に11月3日、「ライブハウス」「カフェ」「ギャラリー」が一挙オープンした。
カフェ&バー「とらのあな」の店長 北川さんと「ホットドッグみそ味」
近年人通りが減少していた商店街に、新たな若者スポットが誕生し活気を呼び戻している。オープンしたのはライブ・イベントスペース「tora」、アットホームなカフェ&バー「とらのあな」、そして若手アーティストの作品に出合える展示スペースギャラリー「PIC(ピック)」(以下、「tora」「とらのあな」「PIC」)。いずれもオーナーは「三和元気プロジェクト」の立役者である山田哲史さん。三和市場に活気を取り戻そうと、空きテナントを特別条件で提供する「チャレンジショップ事業」の一貫として実現した。
「tora」は、店舗面積約12坪。収容人数30人。自身もミュージシャンである山田さんは「演奏者と観客とがより近い距離で音楽を楽しめる」空間を目指し、市場の人々の協力を得ながら店を作り上げた。ロックやジャズ、クラッシックライブのほか、プロミュージシャンと即興で演奏できるセッションライブや、セッション後のレッスン教室など、客も一緒に楽しめるイベントを予定している。
「とらのあな」は店舗面積約9坪。カウンターを含め16席。メニューは「トマトカレー」(600円)、みそマヨネーズのかかった「ホットドッグみそ味」(350円)、「とんかつサンド」(450円)のほか、「何か適当に作って」というリクエストにも対応する。店主の北川星子さん(26)は「今後はライブ出演者の曲を店内で流す予定。ミュージシャンとお客さんが一緒に料理やお酒を楽しみながら交流できる場所にしたい」と話す。
ギャラリー自体が少ない尼崎に「もっとアート作品に触れる場所を」という思いから、現役芸大生の若手作家3人が運営している「PIC」。店舗面積約6坪のギャラリーには「生活にもっとアートを取り入れてほしい」と、気軽に使える版画作品やアクセサリーなどを展示・販売している。芸術作品をより日常的なものとして選び、持ち帰る(「ピック」アップ)楽しみを提供。若者アートを発信する貴重な場所となっている。
「市場のみなさんがとても協力的でうれしい。同世代(20代)の人が集まるようになってきている。今後はこの市場全体に人通りを増やし、にぎやかにしていきたい」と山田さんは笑顔で語っていた。三和市場の関係者も新しい若者スペースの影響力に驚きつつ、喜びを隠せないようだ。
営業時間は、「tora」=12時~22時30分。「とらのあな」=11時30分~23時。火曜定休。