尼崎市立杭瀬小学校(尼崎市杭瀬北新町2)で2月14日、「杭瀬交流フェスティバル」が開催された。学校を開放して昔ながらの遊びや餅つきを行う毎年恒例の行事に多くの人が訪れた。
毎年およそ600人が集まるという同イベント。体育館では、あやとりやお手玉、おはじき、けん玉、コマ回し、竹とんぼなどの「昔ながら」の遊びを地元の老人会や地域ボランティアが子どもたちに伝授。校庭の一角にはまきを使う蒸し器を設置。昼前から餅つきや餅・豚汁の配給が行われ、つきたての餅を待つ参加者で長蛇の列ができた。
小学校区学習センター運営会議・議長の礒田(いそだ)雅司さんは「共働き世代が増えてPTA役員になる人も少ない。そこで、『地域のボランティアで助けていけたら』という思いから、学校に関する全てをバックアップしている」と話す。
小学校区の自治会で集められたアルミ缶や新聞紙・ダンボールをリサイクルして得たお金で学校に必要な用具を購入し、そこで余ったお金を地域に還元するために始まったのが同イベント。30年ほど前に同イベントを主催する「杭瀬ちびっ子推進協議会」が発足。当時から地域との交流イベントは行っていたが、現在のスタイルになったのは2006年で、常光寺小学校と合併したころからだという。
「現役のPTAだけでなく、代々受け継がれているPTAのOBや小学校の卒業生、過去に在任していた先生など校区外からもたくさんの人が集まってくれて、みんなで協力してできた」と話す女性教諭。準備された70キロものもち米や、豚汁用の野菜のカットなどの下準備は前々日から行われ、当日は参加できないが「準備だけでも」と手伝いに加わる人や、使用用具の貸し出しの申し出もあった。市内の園田学園女子大学 人間教育学部の大江ゼミからも6人の学生がボランティアとして参加するなど、昔からの地域コミュニティーが生きている。
「着任して半年だが、地域の方とつながれたことが大きかった」と笑顔で話す男性教諭。参加者やスタッフからは、「天気に恵まれて良かった」「通っている小学生だけではなく、未就学児や小学校と関わりのない人も気軽に学校に遊びに来ることができる。地元老人会には普段の活動にも協力してもらっている。楽しく地域との交流が図れるイベント」という声が上がる。
同校は合併に伴い校舎も新築。その際、災害時の避難場所にもなることから、教室の壁は取り払える仕組みのものを取り入れるほか、炊き出しも行えるような給食室の設備、杭瀬の街が一望できる展望台、エレベーターなどを備える。年配者も急いで高台へ避難できるようにと、階段も従来のものではなく、1階から上階まで手すりつきの一直線の造りになっている。今回のイベントも、「設備があっても経験がないとなかなか動くことができない」ことから、常日頃から地域コミュニティーの活性化や炊き出しを行い、有事に備える背景もあるという。
「小学校は街の中でも最も大きな施設。公民館などが閉鎖されていく中で、子どもの安心・安全のためにも、地域の人たちが集まり交流できる施設になれたら。『サポーター』として、これからも地域のみんなで支えていきたい」と礒田さんは期待を込める。