平成最後の築城となった新「尼崎城」が3月29日、一般公開を迎える。
江戸時代初期に築城され、明治初期の廃城令により姿を消すまで、尼崎藩主の居城として、また大阪城の西の守りとして海辺に美しい姿をたたえていた尼崎城。市制100周年を迎えた2016年、市発祥の旧ミドリ電化創業者・安保詮(あぼ・あきら)さんが私財10億円を投じて天守を「再建」し、市に寄贈することが発表された。約2年の工期を経て、当時の本丸の約4分の1サイズで、当時の場所から北西約300メートルに位置する城址公園内に新城が完成した。
市民にも「わが城」として親しんでもらおうと、市では城の活用法について広くアイデアを求め、「一口城主」「一枚瓦寄付」「ふるさと納税」として募った寄付金は1億9,463万円(2018年12月時点)に達し、整備費用の一部に充てられた。
城の内部は、子どもから大人まで楽しめる体験型ミュージアムとなっている。1階は城の歴史や周辺の観光スポットを紹介する「まちあるきゾーン」、2階は幅10メートルの大スクリーンで江戸時代の尼崎をバーチャル体験できる「尼崎城ゾーン」、3階は「殿」「姫」「武士」などの時代衣装をまとって記念撮影できる「なりきり体験ゾーン」、4階は荻原一青の作品を集めた「ギャラリーゾーン」を設置。5階「展望ゾーン」では窓辺にタブレット端末を設置し、窓から眺める現在の風景と昔の景色を見比べることができる。
公開前日の式典では、稲村尼崎市長が「この日を迎えるまでに、本当に多くの方にお力添えいただいた。尼崎の歴史・文化を学ぶ拠点として、また人々が交流を深める拠点として、尼崎城をしっかりと生かしていきたい」とあいさつ。桂米團治さんの掛け声で鏡開きを行った。
入城時間は9時~17時(受け付けは16時30分)。月曜定休(祝日の場合は火曜)。入城料は、一般・学生=500円、小学~高校生=250円。1階は無料。