歴史に伝わる「なにわの梅」をめでる恒例の「梅まつり」が3月3日、尼崎の難波熊野神社(尼崎市西難波町5、TEL 06-6481-1740)で開催される。
「なにわの梅」は尼崎に伝わる伝説で、「難波の里(現東難波町・西難波町)の香り高い梅の木を、仁徳天皇が特に好まれたので、村人が毎年梅の花を献上してきた。ある時、この梅の木を勅命で都に移した。都では難波に向いている枝には花を付けたが、ほかの枝には花を咲かせることがなかったので、もとの地に返したところ、また昔のように多くの香り高い花を咲かせるようになった」というもの(WEB版尼崎地域史事典より)。
伝説の梅を守ろうと、難波熊野神社と地域住民による「難波の梅保存会」が主催する同まつりは、今回で42回目。境内にある24種約70本の梅花を楽しみながら、「梅むすめ」が梅ジュースなどを提供するほか、野点(のだて)茶会を開き、この日のために募集した短歌の入選作品発表、吟詠を行う。昨年の受賞作は「『梅林に白梅(しらうめ)一輪咲いてます』手柄のように記者の声はずむ」(額田定子さん)、「草に坐(ざ)し日の丸弁当の梅干しを種までしゃぶりし遠いとおい日」(笠井澄江さん)など。
宮司の上田三郎さんは「毎年、今ごろ(1月16日時点)には数輪の花を咲かせるが、今年はまだ姿を見せていない。昨夏の酷暑の影響か、花の見頃は遅めかもしれない」と話す。「難波地区には梅、隣の立花地区には橘(たちばな)の地名が多く残るので、かつてこの一帯では米が採れず、梅やかんきつの果実栽培で人々が生計を立てていたのかも。そんな風景に思いをはせながら、梅まつりを楽しんでもらえたら」と笑顔を見せる。
詠歌の募集は2月10日まで。出品料は1,000円。A4サイズ原稿用紙に1人2首(1首は梅にちなんだもの)を書く。未発表作に限る。郵便か直接神社で受け付ける。