尼崎市中央地域振興センター(尼崎市開明町2)で2月18日、歴史講座「城づくりのエース! 『左門(さもん)さん』ってどんな人?」が開講された。
定員を超え、92人もの受講者が熱心に耳を傾ける。尼崎城に対する関心の高さがうかがえる
現在、尼崎城址公園内で再建が進む尼崎城。同講座は尼崎城の歴史について知識を深めてもらおうと数回にわたって開講している「尼崎城を知る」シリーズで、第1弾「尼崎城『天守』のヒミツ」に続く第2弾。テーマとなった「左門さん」とは、尼崎城を築城した初代尼崎藩主・戸田氏鉄(うじかね)のことで、左門殿(さもんど)川や左門殿橋など市内に名を残している。講師に同市地域研究史料館館長の辻川敦さんを迎え、どのような人物だったのかについて迫った。
講演ではまず、築城の経緯、江戸幕府における尼崎城・尼崎藩の意義や役割といった歴史的背景を説明。戸田氏鉄が曽祖父の時代から将軍家に仕える武門の家柄で、信任も厚く、「伏見城」建設にも関わるなど築城経験も豊富だったことから、大坂城守衛という重要な軍事的役割を有する初代尼崎藩主に選ばれたとする見解を紹介した。三代将軍・家光も来尼し、城を称賛したという。
質疑応答では、「戦国時代にあった古城について知りたい」「尼崎藩領はどこからどこまでだったのか?」「廃城後、石垣の石はどこに行ったのか?」などの質問が数多く寄せられた。
辻川さんは「歴史的資産を活用したまちづくりを見かけるが、経済や観光だけではない。学びを与えてくれるものでもある。歴史を知ると、まちへの理解や愛着が育まれ、地域コミュニティーを形成できる。尼崎城は歴史的に意味深い城だから、バックグラウンドを知ってもらえたら」と話す。
受講した同市在住の橋本哲雄さん(66)は「生まれも育ちも尼崎。自分が子どもの頃と比べても地形や町並みは変化しているから、もっと昔はどうだったのかが気になった。受講して、戦国時代の古城があったなど、知らないことがたくさんあった。歴史を知るとイメージできることが増えるので大事だと思った」と笑顔を見せた。
主催する中央地域振興センター(開明町2)の村上晴香さんは「キャンセル待ちが出るほどの申し込みがあり、関心の高い講座だった。第3弾は3月17日に、地域研究史料館の河野未央(こうの・みお)さんを講師に迎え、人々の暮らしや出来事などについて紹介する予定。4月以降も歴史にまつわる講座などを開いていきたい」と意欲を見せる。