尼崎のあましんアルカイックホールオクト(尼崎市昭和通2、TEL 06-6487-0800)で10月15日、「全日本製造業コマ大戦 あまがさき産業フェア特別場所」が初開催された。
市内産業の活性化を目的とした展示会「あまがさき産業フェア」の一環。「コマ大戦」は、全国の中小企業が自社の誇りをかけて作成したコマを持ち寄り、1対1で戦うケンカゴマ競技。
使うコマは材質・重さを問わず直径20ミリ、全長60ミリ以内と規定し、相手のコマより長く回り続けるか相手のコマを土俵の外に出したら勝ちとなる。2013年から全国大会を行っているほか、アジア各国やヨーロッパでも大会が行われるなど、世界的な広がりを見せている。
「あまがさき産コマの部」では市内や近隣の製造業10社が参戦。独自の工夫を凝らしたコマを武器に、各社の代表が「投げ手」となって小さな土俵にコマを放った。トーナメントを勝ち上がったナカノテック(南初島町10)と菱彩テクニカ(塚口本町8)の2社による決勝では、ぶつかっても倒れない安定性を重視したという菱彩テクニカのコマと、重心を高めに設定し回転力を重視したというナカノテックのコマがいずれも粘り強い回転を見せる持久戦へ。会場が息を潜めて見守る中、わずかの差でナカノテックの勝利が決まった。
優勝を勝ち取ったナカノテックは社員数13人、創業40年の機械部品とレーザー加工を主力とする金属加工会社。社長の中野貴之さんは「本戦までに社内大会を4回行い、コマに改良を重ねた」と振り返る。
完成したのは重さ31.5グラムの銅タングステン製「NTCクラッシュナンバーワン」。胴体底部から中心軸に向けて放射状にうがたれた10個の穴や中空となった軸、投擲時のグリップ力向上のために軸に刻まれた微細な縦溝など、同社ならではの技巧が施されているという。
「回転に伴い、胴体の穴から中心部へ向けて気流が生まれ、さらに回転を促すしくみ。実験では下から風を送ることで、7分間も回転を続けた」と投げ手を務めた平和考(たいらかずたか)さん(35)。工場長を務める傍らコマ製作に励み、投てき練習では指の皮がむけたという。「大会では責任感から胃が痛む思いもした。次戦では若手にチャレンジさせたい」と笑顔を見せる。
実行委員の田中則彰さんは「初開催とは思えない見応えのある大会となった。来年も多くの企業に参加してもらいたい」と大会を締めくくった。