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尼崎の伝統工芸「こもだる」海外から注目集める 市内工場、生産約8割担う

岸本吉二商店4代目社長の岸本さん

岸本吉二商店4代目社長の岸本さん

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 尼崎で明治初期から続く「岸本吉二商店」(尼崎市塚口本町2、TEL 06-6421-4454)が手掛ける「こもだる」が、海外から注目を集めている。

ミラノ国際博覧会日本館エントランスを飾るこもだる

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 江戸時代に上方から江戸に酒を運搬する際、酒だるを保護するために生まれたというこもだる。たるに稲わらで作ったこもを巻き付け、こも縄で縛り、酒の銘柄を大きく刷り込んだもので、現在では酒の奉納や祝いの場での鏡開きで使用される。こもだる生産の約8割は尼崎市内の伝統的な工場が担っている。

 市内のこもだる制作会社の一社である「岸本吉二商店」4代目社長の岸本敏裕さんによると「海外客が土産用によく選ぶ小型のこもだるの出荷数が伸びており、2014年で前年比15%増。また海外進出した和食店や酒造メーカーにとって、こもだるはディスプレーに欠かせないものとなっているようだ」と話す。こもだるが日本を訪れる外国人観光客から人気を集め、日本食文化を海外でアピールする上でも重要なツールとなっているという。

 5月1日からイタリア・ミラノで開催されている「2015年ミラノ国際博覧会」では、日本館の正面に47個のこもだるが展示され、日本文化のアイコンとして扱われている。同展示はJAグループ協賛によるもので、47都道府県の県花、イメージカラーをあしらいコシノジュンコさんがデザインした。こもだるの製造は岸本吉二商店が手掛けた。同館は10月31日までの期間中、日本の農業と食文化をテーマに展示を行う予定。

 世界からの視線を集めるこもだるの製造を担うことについて、岸本さんは「伝統を守り、作り続けていくことが大切。一方で、デザインや美しさも大切に考え、インテリアや結婚式、ギフトといった需要にも答えていきたい」と意欲を見せる。

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