ロボットスクール「ロボキャン」が開講して、6月3日で1周年を迎えた。
ロボット工作やプログラミングに加え、人の前で自分の考えや工夫を発表するプレゼンテーションについても学ぶ
同スクールは、動画・ウェブ制作などを手がける「エアグラウンド」(尼崎市南武庫之荘2)が、未来のロボットオペレーターを育成するプロジェクト「ロボメイツ」の一環で開講した。
2021年に始まった同プロジェクトでは、産業技術短期大(西昆陽1)や尼崎市、神戸市などの高校、地元企業との産学連携の下、ロボットを動かすプログラミングや工作を学べるイベント、小学校での授業などを実施。参加した小学生から「もっと知りたい、学びたい」との声が上がったことから、継続して学べる場を提供しようと2023年6月、小学4年生~6年生を対象に同スクールを開いた。
産業技術短期大学内に教室を構え、同大機械工学科・二井見博文教授がカリキュラムを監修。二井見教授、ロボキャンスタッフが講師を務める。同社の若手スタッフのほか、ロボットの知識を持つ同大生も加わり、指導員「チューター」として受講生のそばについてフォローする。
監修、講師を務める産業技術短期大学の二井見博文教授(機械工学科)
同社社長で講師を務める畠中裕介さんは「ロボメイツの活動で高校生が小学生に教える取り組みを通して、学生と子どもたちがロボットだけでなくゲームや『推し』など共通の話題で盛り上がる様子を見てきた」と振り返る。「ロボキャンでも、受講生はチューターに対し、お兄さん、お姉さん的な存在として気軽に質問や相談をしている」とも。
チューターが受講生のそばについてフォローする。チューターの中にはロボットコンテストに出場する学生も
第1期の講座は2023年6月~2024年2月までの9カ月、36回のカリキュラムで実施した。受講する子どもたちは、パソコン操作に慣れるところから始まり、プログラミングでのゲーム作り、ロボット工作、楽器作り、最終発表会で披露したデジタルアート、ライントレースロボット製作まで、さまざまな課題に取り組んだ。
「一人では難しい場面があっても、ロボキャンでは一緒に学ぶ仲間と協力できる。仲間を作り、コミュニケーション能力を向上させることも大きな目的」と畠中さん。普段から受講生同士で協力し合うほか、最終発表会では、子どもレポーターが発表者に質問し、ロボットやこだわりについて話してもらう形でプレゼンテーションを行い、来場した保護者たちからも好評だったという。
最終発表会は通常の講義を行う教室ではなく、大きな講堂を借りて開催。保護者も招待した
畠中さんは第1期を振り返り、「カリキュラムが少し難しかったかもしれないが、受講生は一生懸命、そして楽しく取り組んでくれた。この3月で卒業する6年生が『もっとロボキャンをやりたい』と言ってくれて、熱心さに感動し、二井見先生と相談して第2期では継続する中学生も受け入れることにした」という。
「4月に始まった第2期では、中学生が小学生のフォロー役をしてくれており、休憩時間の遊びが長引き次の学習に遅れそうな子どもに声をかけてくれることもある。ロボキャンが、年齢も性格もいろいろな子どもが集まって学び合う場になれば」と期待を込める。
受講後、子どもたちは「文字を打つのが苦手でマウスを動かすことも難しかったけれど、どんどんやっていくうちに上達した」「英単語のつづりやコマンド、プログラミングのコードを覚えた」「ゲームを作って改造してみんなに見せられた」「ネジを締めるコツを知った」など、それぞれ手応えを感じたという。
一方、受講生の保護者は、子どもの成長について、「自分で考えて形にすることに磨きがかかり、ものづくりの楽しさ、興味が増した」「意欲的に挑戦するようになった」「コミュニケーション力が上がった」「学校で担任の先生がパソコンで分からないことがあると、子どもに聞くくらい詳しくなった」と話す。
第1期を終えて、さまざまな見直しを進めたという畠中さん。「マイコンボードを第1期で使った『Arduino(アルディーノ)』から第2期は『マイクロビット』に変え、開講期間や回数も6月~翌2月の月4回、9カ月全36講座から、4月~翌3月の月2回、12カ月全24講座にした。今後も、基礎をどう教えていくかなど、受講生に寄り添いながら内容の改良を続けていく」と抱負を話す。
現在、第2期が開講している。
尼崎でロボットスクール「ロボキャン」 子どもたちに「さらなる学びの場」を提供