「万葉の里・猪名寺(いなでら)忍者学校」で11月14日、卒業試験と卒業証書授与式が行われた。
尼崎市の北東部にある猪名寺地域は、猪名野笹原として万葉時代の古歌に詠(うた)われるなど古くからの景勝地として知られる歴史ある地域。漫画「忍たま乱太郎」の主人公・猪名寺乱太郎の名前の由来にもなっている。
忍者学校は、地域の子どもたちに尼崎の歴史や自然に親しんでもらい、愛着を深めてもらおうと住民団体や学校が協働で今年5月に開校。地元の園田北小学校に通う1年生~4年生の「忍たま」たち50人が入学し、法光寺(尼崎市猪名寺1)、佐璞丘(さぼくがおか)児童公園、猪名寺廃寺跡を舞台に、「忍者心得」「変身術」「手裏剣投げ稽古」「木登り・綱渡り術」「歴史術」などを半年間かけて習得した。
卒業試験当日、校長が「よいか忍たまたちよ、一人でも不合格者が出れば、ほうびの『のっぺい汁』を食べることはできないと思え」とげきを飛ばすと、忍たまたちは声をそろえ威勢よく「はっ!」と応じた。
試験内容は「忍者心得5カ条の暗唱」「手裏剣投げ」のほか、さまざまな樹木の葉の中から、文字が書けるクロガネモチの葉を見分けるテスト、忍者に関する知識を問う○×クイズと多岐にわたった。
小学2年生の男児は「心得は全部覚えてきたから簡単だったが、手裏剣投げは難しい」と話し、困難にぶつかる忍たまもいたが、仲間の手助けによって50人全員が無事卒業試験に合格した。忍たまたちは、一人一人の似顔絵が描かれた卒業証書を授与された後、猪名寺婦人会が早朝から用意した「のっぺい汁」をほお張り、笑顔を見せていた。
実行委員長の内田大造さんは「子どもたちのいきいきとした姿を見ることができてうれしい。来年は市内全域から子どもたちを募集し、さらに盛り上げていきたい」と目を細める。