尼崎出身の画家・白髪一雄の個展「生誕100年 白髪一雄 行為にこそ総（すべ）てをかけて」が7月27日から、尼崎市総合文化センター（尼崎市昭和通2）美術ホールで開催される。

「風魔」 1996（平成8）年 個人蔵

　白髪は1924（大正13）年生まれ。床に広げたキャンバスの上に絵の具を置いて天井からつるしたロープにつかまり、素足で縦横無尽、画面全体に描くという画法で知られ、このアクションペインティングによる抽象画は国内外で高い評価を得た。同センター4階には「白髪一雄記念室」が開設され、数々の作品や資料が収蔵、公開されている。

　尼崎市文化振興財団学芸員の妹尾綾さんは、同展の名称について、「白髪が所属していた前衛美術グループ『具体』の機関誌に書いた文章の中から取ったもの。若い頃に考案したアクションペインティングという描画法（行為）を、生涯（全て）を懸けて追求し続けた画家の姿勢を伝えることが、生誕100年という節目の展覧会にふさわしいと考えた」と説明する。

　風景画などの水彩、裸婦像や肖像画などのドローイング、油彩、立体作品を含め、初期の1948（昭和23）年ごろから晩年の2007（平成19）年ごろまでの約55点を展示。2008（平成20）年に83歳で亡くなるまで尼崎に暮らし、制作活動を行った足跡をたどる。

　中には、尼崎を中心に近隣の町を描いた初期の水彩画や、本人が市に寄贈した作品も。生家の木市呉服店にあったアトリエの様子や愛好品なども紹介する。

　「白髪の作品は国内外で評価され、国内の多数の美術館に収蔵されているが、まとめて見られる機会は少ない。白髪のアクションペインティングの迫力ある大画面の魅力は実際に間近で見ないとなかなか伝わらないので、この回顧展で多くの作品に出合ってほしい」と妹尾さん。「生まれ育った尼崎を愛した抽象画家・白髪一雄を知り、尼崎の文化に関心を持つ機会になればうれしい。若手美術家たちの関連企画展などもあるので、若い人も楽しめるのでは」と来場を呼びかける。

　開館時間は10時～17時（入館は16時30分まで）。火曜休館。観覧料は、一般＝1,000円、シニア（65歳以上）＝800円、高校生・大学生＝700円、中学生以下無料。9月23日まで。