プレスリリース

コウノトリ育む農法が評価。日本初、ソーラーシェアリングを含む環境省「自然共生サイト」が豊岡市に誕生

リリース発行企業:株式会社UPDATER

情報提供:

株式会社坪口農事未来研究所(本社:兵庫県豊岡市、代表取締役:平峰英子)、パタゴニア・インターナショナル・インク(本社:神奈川県横浜市、支社長:マーティ・ポンフレー)、株式会社UPDATER(本社:東京都世田谷区、代表取締役:大石英司)は、坪口農事未来研究所を代表申請者として共同で申請した兵庫県豊岡市の農地(8.85ha)が、9月16日に環境省の「自然共生サイト」に認定され、本日9月30日に認定証が授与されたことをお知らせいたします。商業向けの営農型太陽光発電所を含む地域が自然共生サイトに選ばれるのは、日本で初めてです。

▲認定式の様子

背景

2021年に開催されたG7サミットでは、2030年までに陸域・海域の30%を保全する「30by30目標」や「ポスト2020生物多様性枠組(GBF)」が国際的に合意されました。こうした背景を受け、環境省は2023年度から、民間の取り組み等によって生物多様性の保全が図られている区域を認定する「自然共生サイト」制度を創設しています。
兵庫県豊岡市は、2005年から国の特別天然記念物であるコウノトリの野生復帰に取り組み、「コウノトリ育む農法」として農薬や化学肥料に頼らず、田んぼに長く水を張ることで多様な生きものと共生する農業を推進してきました。
その中でも坪口農事未来研究所は、コウノトリ育む農法を起点に有機農法を積極的に実践している事業者の一つです。水田の中に補助的な水域「マルチトープ(江)」を設け、季節の中干しや落水の際にカエル・トンボ・小魚などが生息可能な場所を確保。生態系の多様な場を設けることで多様性を育む保全策を進めています。
さらに2019年には、脱炭素への取り組みとしてパタゴニアの支援を受け、農業と発電を両立させる営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)を導入。生まれた電気は、UPDATERが小売電気事業者としてパタゴニアの関西圏の店舗、オフィスに供給しています。
参考:コウノトリ育む農法について
「コウノトリ育む農法」は、農薬や化学肥料に頼らず、有機肥料の活用、冬期湛水や中干し延期といった工夫により、カエルやトンボなどコウノトリの餌となる生きものを育む農法です。1990年代から試行され、兵庫県や豊岡市の支援のもと2005年に体系化されました。全国で500羽以上のコウノトリが定着・繁殖するなど、生物多様性の回復と農産物ブランド「コウノトリの舞」の生産による経済効果を同時に実現し、地域ぐるみで人と自然の共生する持続可能な農業モデルとして全国から注目されています。



▲飛来したコウノトリ(絶滅危惧IA類)

自然共生サイトに発電所を含む地域が選ばれる意義

今回の認定では「コウノトリ育む農法」を基盤とした坪口農事未来研究所の営農活動による生物多様性保全の取り組みが評価されました。特に評価されたのは、以下の点です。
- 里地里山といった二次的な自然環境に特徴的な生態系が存する場としての価値
- 生態系サービス提供の場であって、在来種を中心とした多様な動植物種からなる健全な生態系が存する場としての価値
- 希少な動植物種が生息生育している場あるいは生息生育している可能性が高い場としての価値
- 越冬、休息、繁殖、採餌、移動(渡り)など、動物の生活史にとって重要な場としての価値

コウノトリ育む農法や有機栽培の実践、マルチトープの設置による生物多様性の向上に向けた積極的な活動が、他地域にも応用可能な、農業と生物多様性保全を両立する先進的なモデルとして国に認められたものと考えています。

さらに、コウノトリ育む農法を実践する三宅地区において営農型太陽光発電を導入したことは、気候危機の時代における農業と生物多様性、そして再生可能エネルギーの共存のあり方も提示しています。発電施設が区域内に含まれる初めての認定サイトとして、農業を基盤に、生物多様性の保全と脱炭素への貢献を同時に実現できる「解決策としての農業」の道筋が示されたことは、これからの再生可能エネルギーの姿を考える上でも社会的に高い意義を持つものといえます。

自然共生サイト登録情報並びに発電所情報詳細




登録区域
- 所在地:兵庫県豊岡市三宅318-1
- 面積:8.85ha
- 計画期間:令和7年9月~令和12年3月

発電所情報
- 設備:営農型太陽光発電所 5基(水稲、果樹、野菜、育苗等)
- 面積:施設面積0.53ha(農地面積1.28ha)
- 発電出力:223.7kWac (311.4kWdc)
- 主な給電先:パタゴニア日本支社
- 運営法人:株式会社坪口農事未来研究所
- 小売電気事業者:株式会社UPDATER

自然共生サイトの特徴
- 水田やマルチトープ(水田退避溝)では、トノサマガエルやアカハライモリなどの準絶滅危惧種に加え、マルガタゲンゴロウ(絶滅危惧II類)、クロゲンゴロウ(準絶滅危惧)などの希少水生昆虫が安定して確認されている。
- 土壌調査では、アーバスキュラー菌根菌(Glomus属)が多く生息し、イネ根との共生が確認された。土壌中の炭素貯留量は農研機構の公開値に比べて10~26%高く、農地の炭素吸収機能が裏付けられている。(みんな大地調べ)
- 営農型太陽光発電は、認定サイト(8.85ha)に分散して5基(総面積0.53ha)設置されており、設置後も周辺水田においてコウノトリの飛来、採餌は継続して確認されている。また、発電パネルを止まり木として利用する行動も確認されている。
- 発電所は2023年度に約32万kWhの電力を生産し、141トンのCO2削減効果を達成。再生可能エネルギー供給と農地の炭素吸収が組み合わさることで、気候変動対策への寄与も確認されている。

各社コメント

株式会社坪口農事未来研究所
当社は『コウノトリ育む農法』を実践し、地域の自然と共生する営農活動を続けてまいりました。このたび営農型太陽光発電を含む地域が自然共生サイトに認定されたことは、農業とエネルギーが共に自然と調和できることを示す重要な成果と考えております。
パタゴニア・インターナショナル・インク
当社が営農、発電において支援、協業する坪口農事未来研究所の取り組みが、自然共生サイトとして認定されたことを大変意義深く受け止めています。当社のミッション「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」を実践するためには、気候と生態系の危機への解決策を自ら実践し、社会に拡大することが不可欠です。今後も、危機の解決策としての農業、エネルギーのあり方をパートナーとともに探求、検証していく所存です。
株式会社UPDATER
今回の認定は、発電所が自然と共生し得ることを国が初めて認めた事例であり、再生可能エネルギーの新しい方向性を示すものです。当社はこれまでも、独自の調達ポリシーに基づいた「顔の見える電力」により、地域のサステナビリティ向上に取り組んでまいりました。今後は、再生可能エネルギーのあり方をさらに模索し、2028年までに本件のようなネイチャーポジティブ型の発電所を全国で10カ所に広げてまいります。
会社概要
株式会社坪口農事未来研究所
所在地:兵庫県豊岡市三宅318-1
設立:1975年、2019年(法人化)
事業内容:水稲を中心とした農業法人で有機農法を積極的に取り入れ、営農型太陽光発電の運営や環境問題にも取り組む

パタゴニア日本支社
所在地:神奈川県横浜市戸塚区川上町91-1 BELITASタワー5F
設立:1988年(日本支社設立)
事業内容:「故郷である地球を救う」を掲げ、環境に配慮した最高品質のアウトドア製品を作り続ける企業

株式会社UPDATER
所在地: 東京都世田谷区三軒茶屋2-11-22 サンタワーズセンタービル8F
代表取締役: 大石 英司
設立: 2011年5月25日
資本金: 1億円(資本準備金 1億4,391万4千円)※ 2025年8月31日現在
事業内容: 脱炭素事業「みんな電力」ほかウェルビーイング、生物多様性等のSXサービスを展開
コーポレートサイト: https://www.updater.co.jp/
本件のお問い合わせ先
株式会社坪口農事未来研究所 担当:平峰拓郎 
E-mail:info@tsuboguchi-agri.com

パタゴニア日本支社 広報担当:ロジャース通子
E-mail:japan.pr@patagonia.com

株式会社UPDATER 戦略広報チーム 豊島・上田
TEL:03-6805-2228(受付時間 平日 11:00~15:00)
E-mail:pr@minden.co.jp

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