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上方伝統文化芸能の若手「霜乃会」が能と落語の公演 尼崎で初開催へ

上方伝統文化芸能人のユニット「霜乃会(そうのかい)」

上方伝統文化芸能人のユニット「霜乃会(そうのかい)」

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 尼崎の山村能舞台(尼崎市塚口町6)で3月6日、上方伝統文化芸能人のユニット「霜乃会(そうのかい)」による公演「霜乃会プラス番外編@尼崎」が開催される。

過去の「霜乃会プラス」の様子

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 同会は20~40代の若手による上方伝統文化芸能のユニット。2017(平成29)年に始めた異分野の若手同士の意見交流会をきっかけに、2019(平成31)年から公演活動を始めた。メンバーは、代表を務める講談の旭堂南龍さん、落語の桂紋四郎さん、浪曲の京山幸太さん、人形浄瑠璃「文楽」の竹本碩太夫さん、鶴澤燕二郎さん、能楽の林本大さん、今村哲朗さん、茶道の松井宗豊さん、華道の芦田一坤さん。

 年に1度、全メンバーがそろう本公演に加え、毎月、大阪でメンバー数人が出演し、各分野や芸能について知ってもらうことを目的に、一般向けの定例講座「霜乃会プラス」を開いてきた。今回は初めて尼崎で「番外編」を行う。

 同会事務局の朝原広基さんによると「講談・落語・茶道で知る堺の偉人 千利休・曾呂利新左衛門(そろりしんざえもん)」「伝統芸能で旅する京都」など、地域と伝統文化芸能を関連付け、横断的に紹介する公演を行っており、次の公演地を探す中で「大阪と兵庫の境界であり、大阪と兵庫が混ざり合う地域」として尼崎に着目したという。「霜乃会に参加する芸能を見ても、能楽の言葉に『尼崎』がたびたび登場し、浄瑠璃作者・近松門左衛門と関わりがあり、近年では落語の人間国宝・桂米朝さんが長年住むなど、さまざまな縁から今回の企画がスタートした」と経緯を話す。

 出演者は観世流能楽師の林本さん、今村さん、上方落語家の紋四郎さん。尼崎では番外編として講座「霜乃会プラス」を派生させた形とし、尼崎ゆかりの演目を紹介するほか、具体的な実技を鑑賞できる「公演」とする。開催地は能楽師が舞える場所として、市内で伝統芸能の普及活動が行われてきた「山村能舞台」にした。

 テーマは「船弁慶」と「悪七兵衛景清(あくしちびょうえかげきよ)」。「船弁慶」は尼崎大物浦を舞台にした能楽の演目で、源義経や武蔵坊弁慶らを主役に描いた物語。同名の上方落語も存在し、後半の趣向は能の同作を踏まえたものになっている。一方「悪七兵衛景清」は、義経と対立した平家に仕える侍大将で、能の「大仏供養」や落語の「景清」に共通して登場する。「能楽と落語、二つの芸能をまたぐことで立体的に知る機会にしたい」と朝原さん。出演者がテーマについて対談するほか、能楽師が舞い、落語家が話すなど実演を通して紹介する予定。

 朝原さんは「尼崎は古くから交通の要所であり、それにつれてさまざまな文化、芸能も花開いた土地柄。まずは能楽と落語という芸能から地域に思いをはせることで、過去から現在にまで至る歴史を感じて、楽しんでもらえたら」と呼び掛ける。

 開演は14時。入場料は、前売り=2,000円、当日=2,500円。前売り券完売の場合、当日券の販売はなし。

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